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保険外サービスに参入するなら今。ケアマネに”選ばれる事業所”になる5つの準備【行政書士が解説】

「介護保険では対応できないニーズが増えているし、うちも保険外サービスを始めたい」——介護・福祉の事業者様から、こうしたご相談が確実に増えています。単身の高齢者や働きながら介護をするご家族が増え、介護保険だけでは支えきれない”すき間”のニーズが広がっているからです。国の推計では、2030年には働きながら介護をする家族が318万人にのぼるとされています。
この流れを後押しするように、2026年3月、厚生労働省の老人保健健康増進等事業として「保険外サービスの手引き・ポイント集」(日本総合研究所作成)が公開されました。これは、ケアマネジャーや地域包括支援センター職員が利用者に保険外サービスを情報提供する際の実務手引きです。
ここで大切なのは、この手引きが「ケアマネがどんな目線で保険外サービスを見て、どんな事業所を利用者に紹介するのか」を明文化しているという点です。裏を返せば、参入する事業所にとっては「ケアマネに選ばれるための条件」が公式に示されたということ。この記事では、理学療法士兼行政書士の視点から、事業所が今から整えるべき5つの準備を解説します。

なぜ「ケアマネに選ばれること」が参入成功の鍵なのか
保険外サービスの利用者の多くは、自分でサービスを探しません。手引き自身が指摘するとおり、利用者から見ると「どんなサービスがあるか分からない」「どこに頼めばいいか分からない」のが実情で、入口になるのはケアマネジャーと地域包括支援センターです。
そしてケアマネは、手引きの中でこう証言しています。「ネットの情報だけで判断はしません。実際に現場を視察したり、電話で直接話を聞いたりしています」「見積もりを取ってもらい、納得したうえで契約するよう促しています」。つまり、広告よりも先に、料金の透明性・契約の適正さ・連絡体制が見られているのです。どれだけ良いサービスでも、ここが曖昧な事業所は紹介候補に残れません。
ケアマネに選ばれる事業所になる「5つの準備」
手引きが示すケアマネの行動(情報収集・整理 → 情報提供 → フォロー・連携)から逆算すると、事業所が整えるべき準備は次の5つです。
- 料金・対応範囲・エリアを「一覧で」示せる資料 … ケアマネはサービスを比較しやすい形で整理・ファイリングしています。時間単価(5分・15分・30分単位など)、スポット/定期の違い、対応エリアを明確にしたチラシ・料金表は、そのまま「紹介ツール」になります。
- 利用者が納得して契約できる契約書・重要事項説明書 … 「見積もりを取り、納得して契約」がケアマネの基本姿勢です。料金・キャンセル規定・免責の範囲が明確な書面は、紹介の前提条件です。
- 異変・緊急時の連絡体制を”事業者側から”示す … 手引きは、体調急変や事故に備えた連絡体制の事前取り決めを繰り返し強調しています。「何かあればこう連絡します」を先に提示できる事業所は信頼されます。
- 利用状況をケアマネに共有できる仕組み … 手引きには「月に一度、書面で利用者情報を共有してくれる事業者には安心して依頼できる」というケアマネの声がそのまま載っています。報告フォーマットを用意しておきましょう。
- 資格・衛生・法令順守の証明 … サービス類型ごとに求められる資格や届出を満たし、それを示せることが最低条件です(次章参照)。
一言でいえば、「わかりやすい料金提示 + 適正な契約書 + 連絡・報告体制」の三点セットです。特に契約書・重要事項説明書は、トラブル予防と信頼獲得の土台になります。

類型別・参入前に確認すべき法令と契約のポイント
手引きが取り上げるサービスの中でも、参入時に法令・契約面の整備が特に重要になる類型があります。
■ 訪問理美容
本来、理容・美容は保健所の確認を受けた施設で行うものですが、疾病や要介護状態などで来所が困難な方には出張理美容が認められています(理容師法・美容師法施行令第4条第1号)。事業化には、資格の保有、自治体への届出や講習の受講(条例による)、「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」に沿った衛生管理が求められます。ケアマネ側も、資格・届出・衛生管理を確認してから紹介するよう手引きで促されています。
■ 高齢者等終身サポート事業
身元保証・死後事務・日常生活支援を一体的に担うサービスで、身寄りのない高齢者を中心に需要が高まっています。ただし命・健康・金銭に関わる重要な意思決定を扱うため、令和6年公表の事業者ガイドラインとチェックリストに沿った契約・運営体制の整備が事実上の参入条件です。令和7年には全国レベルの事業者団体も設立されており、業界の信頼性基準は今後さらに上がっていきます。
| サービス類型 | 整備が特に重要な点 |
|---|---|
| 生活支援・配食・移動支援 | 料金体系の明示、対応範囲・免責の明確化、緊急連絡体制。配食は見守り・安否確認を契約に含むか否かの明示も |
| 訪問理美容 | 資格・自治体届出・衛生管理要領の順守 |
| 高齢者等終身サポート | 令和6年ガイドライン・チェックリストに沿った契約設計と信頼性の担保 |
また、事業者団体による認証制度(一般社団法人 介護関連サービス事業協会の「100年人生サポート認証」など)も整備されつつあります。こうした第三者の目印を取得することも、ケアマネや利用者に選ばれる材料になります。
まとめ:追い風の今こそ、”選ばれる準備”を
厚労省の手引きの公開は、保険外サービスが地域包括ケアの正式な選択肢として位置づけられ始めたことの表れです。参入のチャンスが広がる一方で、紹介する側の「見る目」も公式化されました。わかりやすい料金提示・適正な契約書・確かな連絡体制という土台を先に整えた事業所から、選ばれていきます。
当事務所は、理学療法士として介護の現場に立った経験を持つ行政書士として、現場で本当に使える契約書・重要事項説明書の整備をお手伝いしています。保険外サービスの立ち上げ支援、契約書のリスクチェック、料金・免責条項の設計まで、参入の第一歩を法律の面から支えます。
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※本記事は、厚生労働省 令和7年度老人保健健康増進等事業「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」として株式会社日本総合研究所が作成した「保険外サービスを含む多様な地域資源について 利用者や家族等に情報提供する際の手引き・ポイント集」(2026年3月)を参考に、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の事案に対する法的助言ではありません。制度・条例の詳細や最新の取扱いは、必ず所管の行政機関・専門家にご確認ください。
